東京家庭裁判所 昭和39年(少イ)40号 判決 1965年4月02日
被告人 東横食品工業株式会社
右代表取締役飛沢淳三
土田裕
主文
被告会社東横食品工業株式会社を罰金八万円に、
被告人土田裕を罰金弐万円に各処する。
被告人土田裕において右罰金を完納しないときは金八百円を一日に換算した期間同人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社東横食品工業株式会社及び被告人土田裕の罪となるべき事実は起訴状記載の公訴事実のとおりであるから茲に之を引用する。但しその第二の二項中「一時間ないし」とある部分及び年少者深夜業違反一覧表中昭和三九年四月三〇日の作業に関する部分の記載は之を削除訂正する。
(証拠の標目)
一、被告会社代表取締役飛沢淳三及び被告人土田裕の当公判廷における供述
一、証人有坂崇の当公判廷における供述
一、副検事作成に係る桜井章雄、玉木慎作、青木芳郎、木原武光の各供述調書 各一通
一、労働基準監督官作成に係る桜井章雄、○藤○男、○島○男、玉木慎作、○崎○、青木芳郎、木武光、○張○雄、○井○子の各供述調書 各一通
一、○藤○男の戸籍謄本
一、○田○彦、○島○男、○藤○男の戸籍記載事項証明書 各一通
一、○部○子、○並○二の戸籍抄本 各一通
一、年齢証明書綴(当裁判所昭和四〇年押第四九三号符七号) 一冊
一、○木○○子外五名のタイムカード(右同符一号) 一二枚
一、○○進外二名のタイムカード(右同符二号) 六枚
一、○藤○光外二名のタイムカード(右同符六号) 六枚
一、○村○彦のタイムカード(右同符三号) 二枚
一、○張○雄外一名のタイムカード(右同符四号) 四枚
一、○井○子外二名のタイムカード(右同符五号) 六枚
一、副検事作成被告人土田裕の供述調書 一通
一、労働基準監督官作成右同人の供述調書 二通
一、被告会社の登記事項現在全部の証明書 一通
一、副検事作成被告会社代表取締役飛沢淳三の供述調書 一通
以上
(法令の適用)
被告人土田裕の判示に係る○木○○子外一一名に対する時間外労働をさせた行為は、労働基準法六〇条三項、同一一九条一号、刑法六〇条に、及び、○張○雄外五名に対する深夜労働をさせた行為は、労働基準法六二条一項、同一一九条一号、刑法六〇条に、各該当するところ、労働基準法六〇条三項違反は少年各個人別に使用各週毎に一罪が成立し、同法六二条一項違反は特段の事情がない限り少年各個人別に使用日毎に一罪が成立する(昭和三三年あ第二七一四号、同三四年七月二日最高第一小法廷決定参照)ものと解して、右各罪について、所定刑中いずれも罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項に則とり各罪について定められた罰金の合算額の範囲内において、同被告人を罰金弐万円に処し、もしこの罰金を完納しないときは刑法一八条に従い金八百円を一日に換算した期間同人を労役場に留置することとした。
被告会社はその従業者である土田裕及び桜井章雄、玉木慎作、青木芳郎、木原武光等の判示各少年に対する労働基準法六〇条三項、六二条一項、一一九条一号、刑法六〇条に夫々該当する行為に関し、事業主として労働基準法一二一条一項に基き直接その各罪についてその各本条に定められた罰金刑を科せらるべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項に則とり各罪について定められた罰金の合算額の範囲内において同被告会社を罰金八万円に処することとした。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 海野賢三郎)
別紙
起訴状記載の公訴事実
被告会社は東京都杉並区下高井戸一丁目二四九番地に工場を設けて食料品製造販売業を営むもの、被告人土田はその工場長として製造業務を統轄し、労働者に関する事項について被告会社のために行為するものであるが、被告人土田は被告会社の事業に関し、昭和三九年四月一日から同月二九日までの間、前記工場において
第一、一週間の労働時間が四八時間を超えず、且つ、一週間のうち一日の労働時間を四時間以内に短縮する場合でないのに、別紙年少者時間外作業違反一覧表記載のとおり
一、パン第二係係長桜井章雄と共謀のうえ、満一五歳以上で満一八歳に満たない労働者○木○○子、○藤○男、○島○男、○藤○○子、○寄○○子及び○藤○盛に対し、一日につき所定の労働時間より三〇分ないし四時間を超えて労働させ
二、パン第三係主任玉木慎作と共謀のうえ、前同様の労働者山○進、森○章及び○田○彦に対し、一日につき所定の労働時間より三〇分ないし六時間を超えて労働させ
三、販売第二係係長青木芳郎と共謀のうえ、前同様の労働者○藤○光、○野○之及び○並○二に対し、一日につき所定の労働時間より三〇分ないし五時間を超えて労働させ
第二、法定の除外事由がないのに、別紙年少者深夜業違反一覧表記載のとおり
一、パン第一係主任木原武光と共謀のうえ、満一八歳に満たない労働者○張○雄及び○藤○男を午後一〇時以降三〇分ないし五時間三〇分にわたつて使用し
二、パン第三係主任玉木慎作と共謀のうえ、満一八歳に満たない女子労働者○井○子、○巻○子及び○部○子を午後一〇時以降一時間ないし二時間にわたつて使用し
三、販売第二係係長青木芳郎と共謀のうえ、満一八歳に満たない労働者○村○彦を午後一〇時以降七時間にわたつて使用し
たものである。
別紙
年少者時間外作業違反一覧表<省略>